60代の人に「つみたてNISA」について聞くと
- もっと若い人の資産形成の制度では?
- この歳から積み立てなんて、もう遅いんじゃないの?
- これから収入が減るので、そもそも投資が怖いんです
60代にもなれば、リスクをとって投資するほどの知識もなく、かと言って長期投資を始めるほど若くもなく、元本保証の預貯金が最善と考える人が多いようです。
その通りなのですが、ここでは「つみたてNISA」を一つの選択肢として60代の方(あるいはその前の50代の方にも)お勧めする理由を説明します。
この記事を読めば「つみたてNISA」について
- 60代でも若い人と同じようにメリットを享受できることが分かる
- 投資経験の無い初心者でもリスクが少ない投資を始められることが分かる
- 自分にとって「つみたてNISA」が使う価値があるかないかが分かる
今後の投資を考える選択肢の一つとして「つみたてNISA」を含めることができ、よりよい判断ができるようになります。
50代、60代の人にとって「つみたてNISA」は実際にメリットがあります。
それを踏まえてご自分の資産形成について考えてみてください。
60代に「つみたてNISA」をおすすめする理由は5つ
つみたてNISAは、もう少し若い世代が自らの老後に向けて資産形成を進めるために税金面で優遇してくれる制度だと思っているかもしれません。
しかし、50代、60代あるいはそれ以降の人たちが利用しても同じ優遇が受けられ、他の投資方法に比べても、おすすめする理由が5つあります。
順に見ていきます。
年齢制限がなく税制優遇がある
つみたてNISAは20歳以上であれば年齢制限がなく誰でも利用でき、利用すれば税金面での優遇があります。
しかし老後に向けた資産形成に適した制度という意味では、まず最初にiDeCo(イデコ)が頭に思い浮かぶのではないでしょうか。
iDeCoは若い人にとって良い制度
確かにiDeCoは最も早くても60歳にならなければお金を引き出せませんし、年金形式で受け取ることができ、いかにも老後を見据えた制度です。
拠出した掛金の全額が所得控除の対象になるなど、税金面でも優遇されていて利用者にはありがたい制度です。
しかしiDeCoには難点があって、それは掛金を拠出できるのが60歳になるまでと決められていることです。
これでは現在すでに60歳になっている人は加入できません。
数年後には60歳以降も会社員、公務員として働き続ければ(正確に言えば国民年金被保険者であれば)65歳になるまで掛金を拠出できるようになる見込みです。
しかしそれでも例えば今50代半ばの人でも積み立てられるのは月2万円ほどをせいぜい10年程度です。
これでは長期積立投資のメリットは限定的です。
iDeCoは40代ぐらいまでの人にとっては良い制度と言えます。
つみたてNISAは年齢制限がない
つみたてNISAを始めるのに年齢制限はなく、始めれば誰でも税金面での優遇を最大20年間(2024年から無期限)受けられます。
60歳で購入した投資商品の収益は80歳まで非課税になりますし、65歳で購入した投資商品の収益は85歳まで非課税になります。
2024年からの新NISAなら、投資をやめるまで無期限で非課税になります。
現代は人生100年時代と言われ、60歳の人でも平均余命は男性で23.84年、女性で29.04年もあります。(厚生労働省 平成30年年簡易生命表より)
50代の人はもちろん、60代以降の人でも「つみたてNISA」に加入でき、20年以上の非課税期間を十分に利用できるのではないでしょうか。
途中換金が自由
これもiDeCoとの比較になりますが、途中換金が自由なのも「つみたてNISA」をお勧めする理由です。
iDeCoはお金を引き出せる年齢が決められている
iDeCoは掛金を10年以上拠出しても早くて60歳からしか資産を引き出すことができません。
拠出が10年より短ければ、引き出せる年齢が60歳よりさらに遅くなります。
一般に50代、60代と年台が高くなるほど病気やケガ、そのほか介護など急にお金が必要になるリスクが高まってきます。
そんなとき、資産があるのに自由に使えないのはとても困ります。
つみたてNISAは途中換金が自由
つみたてNISAは、つみたてNISA口座の資産をいつでも自由に取り崩して引き出すことができます。
急にお金が必要になったら換金できるので安心感もあります。
新規に投資できる金額が年間40万円(2024年から120万円)
つみたてNISAの口座で1年間に新規に投資できるのは40万円(2024年から120万円)までです。
複数の株式や投信で投資している方から見れば決して多い額ではありません。
むしろ物足りないぐらい少ない金額です。
しかしこの少ない金額がメリットになることがあります。
運用成績が悪くてもダメージは小さい
会社員であれば60歳またはその後数年で退職金を手にする人も多いでしょう。
その退職金で「よしっ、老後資金を増やすために投資しよう」などとリスクの高い投資商品に大金を投じてしまうかもしれません。
これまであまり投資経験がなく、投資の勉強もしてない人なら、かなりの確率で資産を大きく減らしてしまう結果になりかねません。
つみたてNISAなら年間で40万円(2024年から120万円)、毎月の積み立てなら月に3.3万円(2024年から10万円)までしか投資できませんから仮に投資した商品の運用成績が悪くても損害は小さいです。
まとまったお金を準備する必要がない
つみたてNISAは毎月の生活の余剰金の中から少しづつ積み立てて資産を形成していくことを想定した制度です。
そのため新規の投資は毎月3.3万円(2024年から10万円)とい金額に抑えられていて、まとまった金額のお金を用意する必要はありません。
金融庁が選定した商品だけが対象
証券会社などの金融機関で「つみたてNISA」の口座を作っても、その金融機関で販売している金融商品をどれでも購入できるわけではありません。
つみたてNISAの対象商品は、投資信託(公募投資信託、ETF)の中でも“長期”“積立”“分散”の投資という観点で金融庁が基準を設定し選定した商品だけです。
例えば公募株式投資信託の場合は、販売手数料がゼロ(ノーロード)、信託報酬は一定水準以下などの条件が付けられています。
投資して損害を被るリスクはゼロではないですが、とても低いとされています。
つみたてNISAの対象商品はリスクが少なく初心者でも比較的安心して購入できる金融商品と言えます。
老後のインフレリスクに備える商品として最適
一般に世の中がインフレになっていけば、それに連れて給与水準も上がっていきます。
いわば現役世代の給料はインフレに対応していると言えます。
多くの方とくに会社員は60代に入ると、主な収入源が会社の給料から公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)に移っていくでしょう。
ご存知のように日本の公的年金は積立方式ではなく賦課(ふか)方式で運営されてます。
現役世代が納める年金保険料を原資にして年金受給者に給付する方式ですから、公的年金は従来はインフレに対応しているとされてきました。
しかし2004年に「マクロ経済スライド」が導入されたことにより、簡単に言えば給料や物価の上昇率ほどには年金給付額は上昇しなくなりました。
つまり公的年金はインフレには十分には対応できない仕組みになってしまいましたので、それを少しでも補完する資産形成を行ったほうがよいのです。
その際に、60歳になっても70歳になっても税制優遇を受けながら資産形成を進められる「つみたてNISA」は最適な投資商品と言えます。
60代も つみたてNISAをおすすめする5つの理由:まとめ
現代では60代と言っても、まだまだ先は長いです。
公的年金を受給できる人であっても、老後生活に少しでも“ゆとり”が持てるよう、できる範囲で資産形成を考えてみてはいかがでしょうか。
投資を行うならリスクが少ないと言われる“長期”“積立”“分散”の投資で、しかも税制優遇が受けられる「つみたてNISA」がお勧めです。
なお50代からの資産運用は先ずは安全を第一に検討するのが大事です。
詳しくは下の記事でご確認ください。
⇒ 50代からの資産運用 おすすめは?安全を第一に考えるなら基本は積立の投信
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