○年後に運用益も含めて○○○万円を貯めるに毎年いくらずつ貯金すればよいのか、あるいは○○○万円を運用しながら○年で取り崩すと毎年いくらずつ使えるか、そういった資金計画の数字はどうやって計算してますか?
- 自分では計算できません
- 専門家に頼みます
- 利息は含めずにおおよその金額で考えるようにしています
実はこのような金額が簡単に求められる6つの係数があるのです。
この記事では6つの係数について次のことが分かります。
- 6つの係数の意味
- 6つの係数の計算式、活用シーン
- 6つの係数の覚え方
6つの係数はライフプランの中に何年か後を見据えた資金計画を組み込む際に使える係数なのです。
ぜひ活用してみてください。
6つの係数はライフプランに活かせる
ライフプランで資金計画を考える際に活用できる係数には6種類あります。
- 終価係数: 元本を一定期間運用した後の金額(元利合計)を求める係数
- 現価係数: 一定期間後に一定の金額に達するために現時点で必要な金額(元本)を求める係数
- 年金終価係数: 毎年一定額を一定期間積み立てた後の最終金額(元利合計)を求める係数
- 減債基金係数: 一定期間後に一定の金額に達するために毎年積み立てるべき金額を求める係数
- 資本回収係数: 一定の金額を一定の期間で毎年一定額で取り崩す際の受取額を求める係数
- 年金現価係数: 一定の期間で毎年一定額を受け取るために現時点で必要な金額(元本)を求める係数
終価係数
終価係数とは、現在あるお金を一定の利率で複利運用した場合の一定期間後の金額(元利合計)を求めるのに用いる係数です。
例えば利率2%で5年間の複利運用をした場合の終価係数が分かっていれば、5年後の金額は下のように算出できます。
5年後の金額 = 現在の金額 × 終価係数
終価係数を求める計算式
一定の利率で一定の期間、複利運用をしますので下の計算式で求められます。
終価係数 = (1+年利率)年数
上の例の利率2%で5年間の複利運用をした場合の終価係数は約1.1041になります。
終価係数 = (1+0.02)5 = 1.10408080….
活用シーンの例
手元にある100万円を年利率2%の複利で5年間運用した場合の最終的な金額を終価係数を1.1041として計算してみます。
5年後の金額 = 1,000,000円 × 1.1041 = 1,104,100円
現在の100万円が5年後には110万4100円になることが分かります。
活用例
- 現在持っている資金で投資する際の将来の受取額の予測
現価係数
現価係数とは、お金を一定の利率で複利運用し一定期間後に一定の金額(元利合計)に達するのに必要な現時点での金額を求めるのに用いる係数です。
例えば利率2%で5年間の複利運用をした場合の現価係数が分かっていれば、現時点で必要な金額は下のように算出できます。
現時点で必要な金額 = 5年後の金額 × 現価係数
現価係数を求める計算式
現価係数は下の計算式で求められます。
現価係数 = 1/(1+年利率)年数
上の例の利率2%で5年間の複利運用をした場合の現価係数は約0.9057になります。
現価係数 = 1/(1+0.02)5 = 0.90573080….
活用シーンの例
年利率2%の複利で5年間運用して最終的に100万円にするのに必要な金額を現価係数を0.9057として計算してみます。
現時点で必要な金額 = 1,000,000円 × 0.9057 = 905,700円
5年後に100万円にするには今の時点で90万5700円が必要ということになります。
活用例
- 将来の貯蓄目標額に対して現在必要な金額の概算
年金終価係数
年金終価係数とは、一定の利率で複利運用しながら毎年一定の金額を積み立てていった場合の一定期間後の最終的な金額(元利合計)を求めるのに用いる係数です。
例えば利率2%で5年間の複利運用をした場合の年金終価係数が分かっていれば、5年後の金額は下のように算出できます。
5年後の金額 = 毎年の積立金額 × 年金終価係数
年金終価係数を求める計算式
年金終価係数は下の計算式で求められます。
年金終価係数 = ((1+年利率)年数-1)/年利率
上の例の利率2%で5年間の複利運用をした場合の年金終価係数は約5.2040になります。
年金終価係数 = ((1+0.02)5 - 1)/0.02 = 5.20404016
活用シーンの例
毎年20万円を年利率2%の複利で運用しながら5年間運用した場合の最終的な金額を年金終価係数を5.2040として計算してみます。
5年後の金額 = 200,000円 × 5.2040 = 1,040,800円
毎年20万円ずつ積み立てていけば5年後には104万800円になります。
活用例
- 現在の貯蓄ペースから将来の貯金残高を推測
減債基金係数
減債基金係数とは、一定の利率で複利運用しながら毎年一定の金額を積み立てていって一定期間後に一定の金額(元利合計)に達するのに必要な毎年の積立金額を求めるのに用いる係数です。
例えば利率2%で5年間の複利運用をした場合の減債基金係数が分かっていれば、毎年の積立金額は下のように算出できます。
毎年の積立金額 = 5年後の金額 × 減債基金係数
減債基金係数を求める計算式
減債基金係数は下の計算式で求められます。
減債基金係数 = 年利率/((1+年利率)年数-1)
上の例の利率2%で5年間の複利運用をした場合の減債基金係数は約0.1922になります。
減債基金係数 = 0.02/((1+0.02)5 - 1) = 0.19215839….
活用シーンの例
年利率2%の複利で運用しながら毎年一定の金額を5年間積み立てて最終的に100万円にするための毎年の積立金額を減債基金係数を0.1922として計算してみます。
毎年の積立金額 = 1,000,000円 × 0.1922 = 192,200円
毎年19万2200円ずつ積み立てていけば5年後には100万円になることが分かります。
活用例
- 将来の子どもの学費として必要な金額を積み立てる際の毎年の積立必要額の算出
資本回収係数
資本回収係数とは、現時点の一定の金額を一定の利率で複利運用しながら毎年一定の金額を取り崩していく場合の毎年の受取額(取り崩せる金額)を求めるのに用いる係数です。
例えば利率2%で5年間の複利運用をした場合の資本回収係数が分かっていれば、毎年の受取額は下のように算出できます。
毎年の受取額 = 現時点の金額 × 資本回収係数
資本回収係数を求める計算式
資本回収係数は下の計算式で求められます。
資本回収係数 = (年利率×(1+年利率)年数)/((1+年利率)年数-1)
上の例の利率2%で5年間の複利運用をした場合の資本回収係数は約0.2122になります。
資本回収係数 = (0.02×(1+0.02)5)/((1+0.02)5-1) = 0.21215839….
活用シーンの例
100万円を年利率2%の複利で運用しながら毎年一定の金額を5年間受け取る場合の受取金額を資本回収係数を0.2122として計算してみます。
毎年の受取金額 = 1,000,000円 × 0.2122 = 212,200円
100万円を5年間で取り崩すとすると毎年21万2200円ずつ受け取れることが分かります。
活用例
- 退職金を何年かかけて取り崩していく際の毎年の引き出せる金額の算出
- 借金を何年かかけて均等に返済していく際の毎年の返済額の算出
年金現価係数
年金現価係数とは、お金を一定の利率で複利運用しながら毎年一定の金額を一定期間受け取り続けるために現時点で必要な金額(元本)を求めるのに用いる係数です。
例えば利率2%で5年間の複利運用をした場合の年金現価係数が分かっていれば、現時点で必要な金額は下のように算出できます。
現時点で必要な金額 = 毎年の受取額 × 年金現価係数
年金現価係数を求める計算式
年金現価係数は下の計算式で求められます。
年金現価係数 = ((1+年利率)年数-1)/(年利率×(1+年利率)年数)
上の例の利率2%で5年間の複利運用をした場合の年金現価係数は約4.7135になります。
年金現価係数 = ((1+0.02)5-1)/(0.02×(1+0.02)5) = 4.71345950….
活用シーンの例
年利率2%の複利で運用しながら毎年20万円を5年間受け取るために必要な元本を年金現価係数を4.7135として計算してみます。
現時点で必要な金額 = 200,000円 × 4.7135 = 942,700円
現時点で94万2700円あれば毎年20万円を5年間受け取れることが分かります。
活用例
- 将来お金を年金として受け取り続けるために用意すべき金額の算出
6つの係数の覚え方
ここまでに説明した6つの係数は名前も独特で覚えづらいですね。
しかしFP(ファイナンシャル・プランニング技能士)の2級、3級などの試験を受ける人には必須の内容ですからしっかり覚えておきましょう。
簡単な覚え方としては、3つのキーワードと3つの運用方法を覚える方法があります。
3つのキーワード
次の3つのキーワードを覚えます
- 現価:現在の金額
- 終価:最終的な金額
- 年金:毎年一定金額
3つの運用方法
資金の運用方法には3種類あります
- 一括運用:まとまった資金をそのまま一定期間・一定利率で複利運用します
- 積立運用:一定期間・一定利率で複利運用しながら毎年一定金額を積み立てていきます
- 取崩運用:一定期間・一定利率で複利運用しながら毎年一定金額を取り崩していきます
3つの運用方法に3つのキーワードを当てはめてみる
一括運用
まとまった資金を一定期間・一定利率で複利運用すると最終的な資金になります。
このとき
- 現在の金額から運用後の最終的な金額を求めるのが終価係数
- 運用後の目標金額を基に現在(運用前)必要な金額を求めるのが現価係数
積立運用
毎年一定金額を一定期間・一定利率で複利運用しながら積み立てていくと最終的な資金になります。
このとき
- 現在の運用で積み立てられる最終的な金額を求めるのが年金終価係数
- 運用後の目標金額を基に毎年の積立金額を求めるのが減債基金係数
減債基金とは元々は国債や社債などの債券を返済(減債)するために積み立てる基金のことです。
決まった時期(返済期限)に決まった金額を返済するために毎年ある一定金額を基金に積み立てていく、その毎年の一定金額を求める係数です。
よって借金でなくても、目標金額に対して毎年積み立てていく金額を求める係数としても使えるのです。
取崩運用
一定期間・一定利率で複利運用しながら毎年一定金額を取り崩していきます。
このとき
- 現在の金額から毎年の取り崩し(受け取り)金額を求めるのが資本回収係数
- 毎年一定の金額を取り崩す(受け取る)のに必要な現在の金額を求めるのが年金現価係数
資本回収とは文字通り資本を毎年一定額回収していくイメージです。
その回収額を求めるのが資本回収係数なのです。
6つの係数をライフプランに活かそう:まとめ
ここで紹介した6つの係数は、設定した期間中は利率が一定であることが前提なので、年月の経過とともに現実とは合わなくなってくると思います。
しかし運用益(利息)も考慮した予測ができますので将来のための資金計画を立てる際には、とても使える係数です。
あなた自身のライフプランを作るときにぜひ活用してみてください。
ライフプランの作り方については下の記事で確認してください。
⇒ ライフプラン表の作り方!エクセルでお金の将来をシミュレーションしてみよう
お金の基礎知識は誰にでも必要です
今回の記事で取り上げたテーマのほかにも、人生で「お金」に関わるシーンはたくさんあります。
その際に基本的な知識が有るか無いかで、結果が大きく違ってきてしまうことがあります。
幅広いお金の基礎知識を学ぶにはFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を目指すのが効率的です。
下の記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格が自分のためにも役立つ代表的なシーンを9つ紹介しています。
さらっと読める記事ですので、ぜひチェックしてみてください。
⇒ ファイナンシャルプランナー資格が自分のためにも役立つ9つのシーン!何級まで取ればいい?